地中海沿岸でトルコ初の原子力発電所建設を進めているアックユ原子力発電会社(ANPP)は527日、アックユ原子力発電所(120kWのロシア型PWRVVER×4基)4号機の建設工事で、タービン建屋の基礎プレート部分にコンクリートを打設する作業を開始したと発表した。

これは昨年10月、トルコの原子力規制庁(NDK)が4号機の建設許可を発給したのにともなうもの。この許可により、同社は4号機の安全関係設備を含むすべての建設工事と機器の設置作業が可能になり、サイトでは現在、全4基の建設工事が同時並行で進められている。また、発電所の運営に必要な事務棟や補助建屋についても、建設中となっている。

ANPP社は、トルコから同原子力発電所の建設プロジェクトを請け負った、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社のトルコ子会社。20184月に1号機の建設工事を本格的に開始したのを皮切りに、20204月に2号機、20213月には3号機の原子炉建屋の基盤部に最初のコンクリートを打設している。

1号機では今年4月、排水システムの設置作業が行われており、建設工事は起動に向けた重要な準備段階に入っている。エネルギー源の多くを化石燃料に依存するトルコは、建国100周年を迎える2023年に1号機の運転を開始したいと考えており、2025年までに4基すべてが完成した後は同発電所で国内電力需要の約10%を賄う方針である。

ANPP社は20205月に4号機の建設許可をトルコの原子力規制庁(NDK)に申請した後、20216月末に部分的建設許可(LWP)を取得。全面的な建設許可が下りる前までは、LWPの枠内で原子炉建屋やタービン建屋、補助建屋、およびその他の主要施設の基礎部分で掘削工事を行っていた。

今回の発表によると、タービン建屋では基礎プレートに十分な強度を持たせるため、17,500 3のコンクリートを投入するほか、3,500トンのスチール補強材を使用する計画。基礎コンクリートだけで、厚さは7mに達するとしている。コンクリートが設計強度に達した後は、NDKの代表や独立の立場の点検専門員を交えた特別委員会が、コンクリートの品質チェックを行うとしている。

ANPP社のA.ゾテエバCEOは、「稼働にともなう負荷を均一に支えなければならない建屋の基盤建設では作業を複数段階に分けて実施しており、段階毎に厳しい要件を満たす必要がある」と説明。同発電所の建設工事では様々な技術的解決策を随所で適用しており、今回の基礎プレート作業に関しても、IAEAやトルコの安全基準のみならず、世界中の原子力コミュニティの近代的な要件に合わせて作業を進めていると強調した。

アックユ原子力発電所建設計画では、原子力分野で初めて「建設所有運転(BOO)」によるプロジェクト運営方式を採用しており、約200億ドルといわれる総工費はロシア側がすべて負担。発電所の完成後、トルコ電力卸売会社(TETAS)が発電電力を15年間にわたり購入して返済することになる。

(参照資料:ANPP社の発表資料、原産新聞海外ニュース、およびWNA530日付け「ワールドニュークリアニュース(WNN)」)