尊敬する総理大臣、皆様。

まずはじめに、親愛なるシンゾー、G20サミットの成功を改めてお祝いする。このような大規模な国際イベントに合わせて日本に招待いただいたことに、感謝している。

私たちは「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」の閉会式に出席した。さらにこのあと、ロシアと日本の協力に関わる閣僚や省庁関係者を交えた拡大会合が控えている。

日本の総理大臣とは両国間の基本的な問題についてかなり詳細に話し合うことができた。また、国際情勢や、地域の問題についても、意見を交換することができた。

先ほど、さまざまな分野での協力関係の拡大についての共同文書が署名された。ロシアにとって日本は、重要なパートナーであり、私たちは日本との互恵的な善隣関係構築のために努力している。両国間では緊密な政治対話が続けられている。1か月前には外務防衛の閣僚会議「2+2」が行われた。定期的に安全保障の分野の対話が行われているほか、議会間交流も続けられている。

2国間の貿易も前進している。去年の貿易高は17%増加した。ことしの1月から4月までの貿易高はさらに7%増加した。このことは、ロシアと日本の政府間委員会が効果を発揮し、安倍氏が提案した8項目の協力プランとロシアの貿易経済拡大戦略に沿ったプロジェクトが実現していることを意味している。

きょう、これらの2つの重要な文書に沿ってさらに協力を進めていく共同宣言を出した。とりわけ、日本の技術や投資はロシアの国家プロジェクトの実現のために活用されるだろう。日本の企業がロシアとの連携に関心を示し続けてくれていることを、私たちは目にしている。

現在、およそ270の日本企業がロシア市場に進出している。ロシアと日本の投資ファンドや投資プラットフォームがよく機能している。日本の企業や投資家が最近のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに積極的に参加してくれた。安倍氏や日本の同僚の皆さんと、ことし9月にウラジオストクでの東方経済フォーラムでも会うことができればうれしい。

2国間の協力関係の基礎となる分野はエネルギーだ。日本の企業は「サハリン2」プロジェクトに参加している。先ほど、三井物産とJOGMEC=石油天然ガス金属鉱物資源機構の、LNGの開発プロジェクト「アークティック(北極)LNG2」への参加に関する重要な合意文書が署名された。この事業の投資額はおよそ30億ドルにのぼる。「ロスアトム」は、福島の原発事故の除染事業に参加している。さらに、第三国も含めた使用済み核燃料の再利用に関する共同事業についても検討されている。

ハイテクの分野での2国間協力も強化されている。日本の「キヤノン」のロシアでの医療機器製造にむけた合意もなされた。日本とヨーロッパをつなぐ新たな高速データ通信にむけたプロジェクトとして、ナホトカから新潟までをつなぐ海底ケーブルの整備が検討されている。

交通、インフラの分野での協力が発展している。シベリア鉄道を通じたコンテナのテスト輸送では、日本からヨーロッパ市場への商品輸送の拡大に向け、低コストで効果的だということが証明された。

地域間の交流拡大にむけて、2020年をロシアと日本の地域交流年と位置づけることで、きょう、総理大臣と合意した。

もちろん、安倍氏とは平和条約に関する問題について議論を行った。双方の外相が両国にとって複雑で繊細な問題について、対話を充実させてきた。対話はこれからも続くだろう。ロシアと日本の関係を質的に高いレベルに引き上げるための困難な作業がまだ残っている。両国民の信頼関係と善隣関係を強化し、いちばん難しい問題に関する双方受け入れ可能な条件をつくり出すものだ。重要なのは、島々での共同経済活動の実現に向けて、いくつかの進展があったことだ。すでに合意した5つのプロジェクトの中で、2つをパイロットモデルとすることで合意した。近くパイロットモデルに関して動きが出るだろう。

喫緊の国際情勢については、朝鮮半島情勢について特に話し合った。私は4月25日にウラジオストクで行った朝鮮民主主義人民共和国のキムジョンウン(金正恩)委員長との首脳会談の結果について、安倍氏に報告した。朝鮮半島の核ミサイル問題は、平和的な政治外交手段でのみ解決が可能だ。すべての関係国による建設的な対話が必要だ。そうすることによってのみ、私たちの共通の地域である北東アジアの安全と繁栄が可能となる。

最後に、総理大臣と日本の皆さんに対し、手厚いおもてなしと充実した対話に、改めて感謝を申し上げたい。ありがとうございます。