20221019ロスアトム国営公社のアレクセイ・リハチェフCEO(最高経営責任者)は、バングラデシュを実務訪問した。これはルプール原子力発電所2号機の原子炉容器据付工事完了に合わせたロスアトム首脳の訪問である。

リハチェフ氏とバングラデシュのシェイク・ハシナ・ワゼド首相は、イシュワルディ地区のルプール建設現場で原子炉容器据付工事の最終段階を開始した。据付工事の一環では、原子炉を機器用エアロック経由で原子炉建屋の格納容器に移動した上で、ポーラクレーンを用い、334トンの構造物を設計上の位置に据付した。

リハチェフ氏は、2号機の原子炉容器据付工事の重要性を強調し、バングラデシュ共和国との協力関係を高く評価した。同氏は、「我々は1年前、1号機の原子炉容器が設計上の位置への据付工事に立ち合いしましたが、この度、2号機でも同じ工事が完了しました。バングラデシュ初の原子力発電所の建設は、パンデミックがもたらした障害にも関わらず、順調に進んでいることが分かります。工事関係者の皆様には、円滑に業務を進めていただき、心から感謝しております。また、バングラデシュ共和国政府の全面的な支援に感謝の意を表します。我々は毎日、バングラデシュ国民が待ち望んでいる原子力発電所の稼働開始日を近づけています」と述べた。

シェイク・ハシナ・ワゼド氏は、「ルプール原子力発電所は、我が同国人により良い生活の確保に役立ちます」。この発電所の建設に協力してくれたロシアに改めて感謝いたします。我々は、原子力発電所の建設の総合的な安全・安心に留意しており、安全を第一に考えてきました。原子力発電所の建設は、非常にリスクの高い工事です」と述べた。

リハチェフは、原子炉容器据付工事の無事完了を受け、ロスアトムの同原子力発電所訓練センターの開所式に参加した。この新しいセンターは、様々なカテゴリーの運転員育成を目指しており、整備の面では比類がない。バングラデシュ市民は、最新の設備を備えた専用教室や生産工場で訓練を受けていく。また、ロシア側は、バングラデシュ側が将来に自主的に所員育成できるようになるために必要なすべての訓練プログラムをすべて策定してきた。

参考

2号機用VVER-1200型原子炉容器の設計上の位置への据付工事は、複数の段階を経て実施された。まず、LR11350クローラークレーンは原子炉容器を発電ユニットの機器エアロックに載せた。次に、原子炉容器は、専用運搬台車に載せられ、原子炉室中央ホールに移動された。その後、原子炉容器は、ポーラクレーンを用い、垂直位置に回転させられ、原子炉キャビティのサポートリングへと据付された。AEMテクノロジー製VVER-1200型原子炉圧力容器(重量:333.6トン、長さ:11.18メートル、直径:4.57メートル)は、据付工事前にすべての規制要件に基づき、受入検査を受けた。

VVER-1200型原子炉2基(総出力240kW)を備えたルプール原子力発電所は、ロシアの設計に基づき、20151225日付の総合契約の一環でバングラデシュの首都ダッカから160km離れた場所に建設されている。バングラデシュ初の原子力発電所には、ノボボロネジ原子力発電所発電ユニット2基で効率的に活用しているVVER-1200型原子炉を用いたロシア設計が選定されている。これは、国際的な安全要求事項を完全に満たす、進化した第3+世代設計である。