エジプトで原子力発電の導入計画を担当する原子力発電庁(NPPA)は630日、同国初の原子力発電設備となるエルダバ発電所の12号機(VVER-1200、出力各120kW)について、建設許可をエジプト原子力規制・放射線当局(ENRRA)に申請した。

これは、同発電所の建設工事を請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が71日付けで発表したもの。VVER-1200は第3世代+(プラス)の120kW級ロシア型PWRで、ロスアトム社は地中海沿岸のエルダバ発電所建設サイトで、これを4基建設する計画。1号機の建設許可が下り次第、本格的な工事を開始する。電気・再生エネルギー省傘下のNPPAは、完成した4基すべてを所有・運転・管理することになっており、1号機に関しては2026年の完成を目指している。 

建設サイトのエルダバ市は、カイロに次ぐエジプト第2の都市アレキサンドリアから西に170kmのマトルーフ行政区域内にある。同サイトが、原子力発電所の建設に関する国内基準と国際的な基準を満たしているかに関しては、NPPAがすでに20193月、4基分すべての「サイト許可」をENRRAから取得した。建設許可申請はこれに続く手続きで、ENRRAはユニット毎に建設許可を発給する。

NPPAA.エル・ワキル会長は12号機の建設許可申請について、「NPPAとロスアトム社のエンジニアリング部門であるASE社が実施した広範囲な共同作業の賜物であり、国内外の関係要件を満たした最高水準の申請書になった」と強調した。ASE社のG.ソスニン副総裁も、「ロシアとエジプトの両チームは、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約における技術要件やサイト条件との適合性を考慮した上で、このように複雑な職務を完了させた」と述べた。

エルダバ発電所で採用するVVER-1200の「AES-2006」モデルについてロスアトム社は、ロシアの最新技術によるVVER設計であり、ロシア国内ではすでにレニングラード原子力発電所とノボボロネジ原子力発電所のⅡ期工事で各2基が稼働中だと説明。国外でもベラルーシ初の商業炉として、ベラルシアン1号機が202011月から送電を開始している。

同発電所の建設計画でエジプトとロシアが交わした一連の契約によると、ロシア側は原子力発電所を建設するのみならず、発電所の全運転期間中に必要な原子燃料をすべて供給する。エジプト側の関係人材についても教育訓練の手配を約束。運転開始後最初の10年間は発電所の運転・保守(O&M)を支援するほか、使用済燃料の貯蔵施設もエジプト国内で建設する予定である。

(参照資料:ロスアトム社、NPPAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA71日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)