ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は414日、トルコで同社が請け負っている同国初のアックユ原子力発電所(120kWのロシア型PWRVVER×4基)建設計画に対し、ロシアの民間金融グループであるオトクリティエ銀行から総額5億ドルの「サステナビリティ・リンク融資(SLL)」が提供されることになったと発表した。

SLLは環境的・社会的に持続可能な経済活動の支援を目的としており、ロスアトム社はすでに今年3月、ロシアのソブコム銀行から7年間で合計3億ドルのSLLを受けると発表。同じく7年間にわたる今回の信用枠は、オトクリティエ銀行とロスアトム社のトルコ現地法人であるアックユ原子力発電会社(ANPP)の間で契約が締結された。

アックユ計画では、4基すべてが完成した際の総発電量が年間で約350kWhに達すると予想されており、大型商業都市であるイスタンブールの総電力需要の約90%を賄うことができる。また、トルコ全体の約10%を満たせる規模だとロスアトム社は指摘している。

今回のSLLの特別条件としては「持続可能な開発に向けた義務事項の順守」が設定され、ANPP社はトルコの法令に従って建設プロジェクトの環境状況と生態学的状況をモニタリングし、年次報告書を提出すると約束。これらの条件を全面的に順守することで、比較的低い金利が適用される。

ロスアトム社で国際事業を担当するK.コマロフ第一副総裁は、「この条件付き信用枠によって優遇金利が期待できるほか、当社の主要プロジェクトであるアックユ計画と、持続可能な活動のためのソリューションに共通する特質を改めて確認できた」と表明。「SLLが得られたということは、信頼できる顧客として金融市場が当社を認め、また原子力発電プロジェクトには持続可能な低炭素シナリオに沿って経済成長に向けた条件設定が可能と認識したことを意味している」と述べた。

ロスアトム社の財務経済担当のI.レブロフ副総裁も、「アックユ計画はトルコ最大の低炭素エネルギー・プロジェクトであり、それに対する信用枠の提供は、国連の持続可能な開発目標とパリ協定の目標達成を当社が約束したため得られたもの」と説明した。オトクリティエ銀行のE.チルコワ上級副社長は、「ロスアトム社との戦略的連携協力では、単なるビジネス以上のものを目指している」と指摘。同社が環境責務の全面的な履行と国際的慣行の踏襲を約束したことから、オトクリティエ銀行にとって今回の契約は特に重要なものになると強調している。

地中海に面したアックユ原子力発電所建設サイトでは、20184月から1号機の本格的な建設工事が始まっており、20204月に2号機が着工した後、今年3月には3号機が着工した。4号機についても、ANPP20205月に建設許可を原子力規制庁(NDK)に申請しており、今年中の着工を予定している。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA414日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)