ロシア国営の原子力総合企業、ロスアトム社のエンジニアリング部門であるASEエンジニアリング社(ASEEC)社は225日、中国・江蘇省の田湾原子力発電所でロシア型PWRVVER)設計を採用した8号機の建設工事を本格的に開始したと発表した。

20215月に同型の7号機を着工したのに続くもので、8号機の原子力系統部分にはこの日、最初のコンクリートが打設された。両炉はともに第3世代+(プラス)の最新120kWVVERVVER-1200)となる予定で、ロシア側は今後、原子力系統の設計や主要機器の製造・納入を実施。両炉は2026年~2027年にかけて完成する見通しである。

原子炉建設における中国とロシアの協力は10年以上に及んでおり、田湾発電所では100kWVVERVVER-1000)を採用した12号機が2007年からすでに稼働中。期工事として建設した34号機(各120kWVVER)も、2018年に営業運転を開始した。III期工事の56号機については、中国核工業集団公司(CNNC)はフランスのPWR技術をベースに独自開発した第3世代の100kWPWRを採用。両炉はそれぞれ、20209月と20216月に営業運転を開始している。

CNNCとロスアトム社は20186月、田湾IV期工事となる78号機、および遼寧省の新規サイトとなる徐大堡原子力発電所の2基について、VVER-1200を建設するための枠組み契約を締結した。20193月には、田湾78号機の建設で一括請負契約を交わしており、同年7月からは両炉の原子炉容器に使用する鍛造品など、長納期品の製造が開まっている。

ASEEC 社を構成する建設・輸出担当のアトムストロイエクスポルト(ASE)社は、「VVER-1200を採用した新しい4基の契約を実行しつつあり、今後数年以内にこれらを中国の送電網に接続できる」と表明。機器類の設計・製造作業は、今や途切れることなく本格的に進展中だと強調した。

ASEEC社の一部である設計企業のアトムエネルゴプロエクト社も、建設工事の一環として設計監督グループを田湾原子力発電所に常駐させたと発表。CNNCや中国の下請け企業が実施する作業で正確性を期すため、文書管理を行うとしている。

(参照資料: ASEEC社(ロシア語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA225日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)